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図書館員の気になる一冊

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奈良県立図書情報館に所蔵されている本の中から、図書館員が気になる1冊を紹介します。 (こちらの記事は、奈良県立図書情報館メールマガジン「Lib Info NARA -奈良県立図書… もっと読む
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2024年2月の記事一覧

色のコードを読む : なぜ「怒り」は赤で「憂鬱」はブルーなのか【#図書館員の気になる一冊】

 サブタイトルにあるように、怒りを色で表すとすれば赤、「ブルーな気分」と言われれば少し憂鬱な感じを受けます。冠にセピア色と付けばどこかノスタルジックな空気が漂い、熱狂的なファンがアーティストに向けるのは黄色い歓声です。  色を使って感情などの形のないものを表現する例は多くありますが、用いられる色や、そこから受けるイメージは万国共通なのでしょうか。  本書イントロダクションでは、ドイツの文豪ゲーテが『色彩論』のなかで、色は純粋な科学現象ではなく、むしろ主観的な現象なのだと訴え色

種をあやす : 在来種野菜と暮らした40年のことば【#図書館員の気になる一冊】

 本書は、長崎・雲仙の地で農業を営む著者が、長年にわたり種採りを行ってきたこれまでのことを振り返り、これからの農業や野菜についての思いを綴ったものです。  「種採り」は現在の一般的な農業では普通のことではありません。なぜなら、現在流通する野菜のほとんどがF1種と呼ばれる種で作られているからです。F1種とは、品種改良され、一代でその一生を終える種のこと。種は採れず、採ったとしても二代目は上手く育たない。それと引き換えに、人間の口に合うよう味や香りの再現性を上げているのです。