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図書館員の気になる一冊

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奈良県立図書情報館に所蔵されている本の中から、図書館員が気になる1冊を紹介します。 (こちらの記事は、奈良県立図書情報館メールマガジン「Lib Info NARA -奈良県立図書… もっと読む
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2023年12月の記事一覧

陰陽師とは何者か:うらない、まじない、こよみをつくる【#図書館員の気になる一冊】

 突然の年越しに、当時の人は大慌てだったことでしょう。  今から151年前、明治5年(1872)の11月9日、政府から改暦の布告が出されました。それまでの太陰太陽暦を太陽暦に改め、12月3日を明治6年1月1日とする突如の年明けが申し渡されたのです。本書によると、このことは、現在のカレンダーにあたる「暦」をつくっていた人々にも知らされていなかったようです。すでに刷り終えた暦の在庫を大量に抱え、彼らは莫大な損失をこうむりました。その中には、かつて陰陽師だった人たちも含まれていたよ

月夜の黒猫事典 : 知られざる歴史とエピソード (ひみつの本棚シリーズ)【#図書館員の気になる一冊】

 黒猫と聞くと、どういったイメージをお持ちでしょうか。昔の日本では不思議な力があると考えられていたようです。『日本国語大辞典』によると、「黒猫」は、「全体の毛の色が真黒な猫。江戸時代には、これを飼えば労咳(肺結核)が治るという俗信があり、恋の病にも効験があるといわれた。」とあります。自由気ままで神秘的な猫の中でも、黒猫は特別な存在だったことがわかります。日本以外の国々でも、黒猫には特別な力があると考えられていました。そのことがわかるのがこの本です。  本書は、世界の黒猫にまつ