【展示ツアー(後編)】ゴーリーの世界へ飛び込む——ゴーゴーゴーリー
11月10日(日)まで、当館2階にて「ゴーリーの世界へ飛び込む——ゴーゴーゴーリー」を開催中です。
今回は前編に引き続き、展示ツアー後編をお届けします!
前編では、本展示の開催の経緯やゴーリーのプロフィールも紹介しました。
図書展示ぐるっと一周!
まずはじめに、展示の様子を動画でご紹介します!
※8月31日に撮影しました。
図書展示紹介
前編に引き続き、図書企画展での展示を写真と共にご紹介していきます!
※8月31日に撮影しました。
図書展示「ゴーリーの愛読書―『源氏物語』」
読書家、蔵書家だったゴーリー。好きな作家として、ジェイン・オースティン、アントニー・トロロップと並んで挙げていたのが紫式部でした。中でも『源氏物語』は飼い猫の名付けの際に参考にするほどお気に入りの作品で、「個々の人間にとって生きることとは何かという問題について、これほど強く認識している文学は他に見あたらない」「『源氏物語』は、西洋文学でほとんど扱われることのない、存在についての感情の機微を表現しているんです」など、いくつものインタビューで源氏物語に言及しています。
ゴーリーは源氏物語を1950年代前半に読破してから、数年ごとに再読していたと語っています。とりわけ繰り返し読んでいたのは「ウェイリー版」と呼ばれる英訳本でした。訳者のアーサー・ウェイリーはヴィクトリア朝末期の1889年にロンドン郊外で生まれた東洋学者で、源氏物語を世界で初めて英語全訳した人物です。
近年では角田光代、古くは与謝野晶子や谷崎潤一郎、円地文子、田辺聖子、橋本治、瀬戸内寂聴、大塚ひかり、林望など、たくさんの作家・研究者が源氏物語の新訳に取り組んできました。その訳出は、原典に忠実なもの、大胆な意訳をほどこしたものなど様々ですが、訳を読み比べてみるとそれぞれに特徴を見てとることができます。古典作品は数あれど、源氏物語ほど活発に現代語訳が試みられている作品もありません。
図書展示「ゴーリーの愛した日本文化」
ゴーリーは日本だけでなく、洋の東西を問わず様々な地域の文化に接し、吸収しましたが、日本文化への思い入れは特に強く、その「省略」的な側面に強く惹かれていました。
ゴーリーの作品の中には、日本美術からの影響が見られるものがあります。
『蒼い時』は扇面画の形式を模倣したものですが、『ジャンブリーズ』など、ゴーリーは度々、キャラクターに扇子を持たせています。また、『輝ける鼻のどんぐ』冒頭の岸に打ち付ける波の描写は、明らかに葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」(『富嶽三十六景』)を参照しています。
また、「鳥獣戯画」の兎や蛙、猿たちの戯れの図様が、ゴーリーの『題のない本』の動物たちが集まり踊る様子、『狂瀾怒濤:あるいは、ブラックドール騒動』の不思議な生き物たちが悪戯をしあう様子に引き継がれているという解釈もあります。
奈良県立美術館 特別展「エドワード・ゴーリーを巡る旅」
【関連展示】エドワード・ゴーリーと日本文化-20世紀アメリカの眼-
奈良県立美術館では、特別展「エドワード・ゴーリーを巡る旅」とあわせて、関連展示「エドワード・ゴーリーと日本文化-20世紀アメリカの眼-」が開催されています。日本美術とゴーリーの作品を見比べながら鑑賞することができ、非常に興味深いです!
特別展は日本全国巡回展ですが、関連展示は同館オリジナルの展示です!ぜひ同館にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
【イベント情報】司書出張イベント:司書の読み、学芸員の眼 ゴーリー深掘りゴリゴリゴーリー
奈良県立美術館と当館のコラボイベントを開催します!!
最後に
展示では、ここでは紹介できなかった本もたくさん並べています!その数、約430冊!数冊を除き、ほとんどの本を借りることができます!
また、今回ご紹介した本や、解説を収録したブックリストも配布しています。解説は、奈良県立美術館の学芸員さんにも作成をご担当いただきました!
ぜひご来館のうえ手に取ってご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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