Nの廻廊 : ある友をめぐるきれぎれの回想【#図書館員の気になる一冊】
本書を知った際には、その取り合わせに「へっ???」となりました。昭和戦時期を中心とする地道で重厚なノンフィクションを、冷静な筆致で記していく著者。一方、学生運動のリーダーから経済学者を経て、けれん味のある保守派在野言論人へと転じた西部邁。それぞれの著作には、そこそこ親しんできたつもりでしたが、あまり接点があるようには見えなかったからです。
ふたりが出会ったのは、中学生のころとか。著者の自伝『風来記 わが昭和史(1)青春の巻』(平凡社、2013)を読み返してみると、昭和20