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図書館員の気になる一冊

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奈良県立図書情報館に所蔵されている本の中から、図書館員が気になる1冊を紹介します。 (こちらの記事は、奈良県立図書情報館メールマガジン「Lib Info NARA -奈良県立図書… もっと読む
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2023年9月の記事一覧

「記憶の継承」ミュージアムガイド : 災禍の歴史と民族の文化にふれる【#図書館員の気になる一冊】

 「記憶を風化させてはならない」とよく耳にします。しかし、向き合い難い災禍の記憶を心に留めておくのは容易ではありません。本書はそうした記憶をすくい上げ、受け継ぐミュージアムのガイドブックです。  扱われているテーマは、原爆や空襲、満州開拓、シベリア抑留、性暴力、ホロコーストなどの戦争の歴史、日本に共に生きるアイヌ民族や在日コリアンの文化、ハンセン病や水俣病とそれにまつわる差別の記憶、東日本大震災など多岐にわたります。中には知識の乏しい分野もあるかもしれませんが、各館の説明には

夢二と花菱・耕花の関東大震災ルポ【#図書館員の気になる一冊】

 今年は、大正12年(1923)9月1日に発生した関東大震災から、100年の節目に当たります。関東大震災は、近代日本の首都圏に未曾有の被害をもたらした、特筆すべき災害で、我が国における災害対策の出発点となりました。  本書は、『都新聞(現在の東京新聞)』に大正12年(1923)9月14日から10月4日まで21日間にわたり連載された『東京災難画信』と『夕刊報知新聞』に大正12(1923)年9月30日から11月1日まで掲載された『大震災印象記大正むさしあぶみ』を収録しています。