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大災害とラジオ : 共感放送の可能性【#図書館員の気になる一冊】

 災害時、みなさんが情報を得る手段として備えているものは何でしょうか。ラジオを日常的に聞く人が年々減少している中でも、災害時の備えとしてラジオを用意しているという人は多いのではないでしょうか。
 本書は新聞やテレビ、インターネット、SNSなど情報を伝える様々なメディアがある中で、ラジオの災害放送について取り上げられたものです。これまでラジオにおける災害放送には防災放送・被害報道・安否放送・生活情報の4パターンがあるとされてきました。しかし、この4つに加え、共感放送という5つ目のパターンがあり、その共感放送こそがラジオの特性であると述べられています。
 戦前から様々な災害を経て形成・発展してきた現在のラジオは、普段からラジオ局のパーソナリティーとリスナーで双方向にコミュニケーションがとられています。そのコミュニケーションは情報を伝えるだけではない共感放送として、災害時に安心感をもたらしています。
 私自身もコロナ禍で自宅にいることが多かった時期、ラジオから聞こえるいつもの時間のいつもの声は、社会とのつながりを感じさせてくれました。本書を読んでラジオの持つ力を感じ、いつもの時間のいつもの声を探してみてはいかがでしょうか。

(かしわぎ のりこ)

『大災害とラジオ : 共感放送の可能性』大牟田智佐子著 ナカニシヤ出版 2024.1

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