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本棚を旅する #10

「9:文学」

旅もついに10回目となりました。つまり今回が最後の旅となります。
最後の旅先に選んだのは「9」。ここは「文学」に分類される場所です。

多くの人が触れたことがあるであろう、小説やエッセイもここに分類されます。例えば日本の小説なら「913.6」、日本のエッセイなら「914.6」といった具合です。

ではどんな本がどんな風に分類されているのでしょうか。

本棚を旅する、最後の旅先。さっそく行ってみましょう!

最後の旅先

と、いうわけで、今回旅をするのはこのあたり。


到着してまず手にしたのはこの1冊です。

『わたしの好きな季語』(請求記号:911.307-カワカ)

わたしの好きな季語/川上弘美著/NHK出版

短歌や俳句などに用いられる季節の言葉、季語。
この本では、そんな季語とそれにまつわる著者の日常が綴られています。
私が心惹かれた季語は「良夜(りょうや)」。一体いつの季語だと思いますか?
他にも「月」「てんとう虫」「蝋梅」「海苔」など様々な季語が紹介されています。
昔と季節の移ろう様子が変化しつつある現代だからこそ、言葉から季節を感じるのはいかがでしょうか。
ちなみに「歳時記」という、季語をまとめた事典のような図書もあります。さらに季語の世界に触れたい方はぜひ。

『ラ・フォンテーヌ寓話』(請求記号:951.5-ラフオ)

ラ・フォンテーヌ寓話/ラ・フォンテーヌ作 ; ブーテ・ド・モンヴェル絵 ; 大澤千加訳

表紙に一目ぼれして手に取った1冊。
タイトルのラ・フォンテーヌは著者であるフランスの詩人のことです。「全ての道はローマに通ず」という言葉を残した人でもあります。この本は、イソップ寓話やインドの説話集などをもとに創作された物語集です。『ウサギとカメ』など日本でも馴染みのあるお話から、
・セミとアリ
・ミルク売りとミルク壺
・牡蠣と訴訟人
など26のお話が綴られています。
ちなみに私が惹かれた表紙をはじめ、挿絵はどれも19世紀に描かれたもの。可愛らしいウサギに、靴磨きをしている少年、中には手足の生えた鍋の姿も!一体どんな物語が待っているのか、ぜひ想像をふくらませながら、ページをめくってみてください。

『江戸の絵本読解マニュアル』(請求記号:913.57-ソウノ)

江戸の絵本読解マニュアル : 子どもから大人まで楽しんだ草双紙の読み方
/叢の会編 ; 黒石陽子 [ほか執筆]

江戸時代の絵本ともいえる「草双紙」。
そんな草双紙を、キャラクターや文化、表現方法など、色んな角度から楽しむ方法を教えてくれるのがこの本です。
江戸時代の本、と聞くとなんだか難しく感じる人もいるかもしれません。しかし、この草双紙、今を生きる私たちが読んでも魅力がいっぱいなんです。
例えば『風流桃太郎柿太郎勇力競(ゆうりきくらべ)』。タイトルを聞いた時点で、柿太郎って一体何者だ!?と食いつかずにはいられないパワーがあります。しかも江戸時代の「絵本」なので、当時の書き文字に慣れない(読めない)人でも、絵からなんとなく話を察することができます。
本を通して、ぜひ江戸時代の世界へ飛び込んでみませんか。

本棚を旅する

「9:文学」の旅はいかがでしたか。
一口に文学といっても、寓話に短歌・俳句(季語)から江戸時代の本と、想像以上に様々なジャンルの図書が含まれていたのではないでしょうか。

「本棚を旅する」はここで終わりですが、日々本棚を旅する機会はこの先も続いていきます。

シリーズのタイトルに「旅する」と銘打ったように、新しい本を手にすることは、知らない世界を訪れることに似ていると私は思っています。
これからもぜひ、本棚という世界を旅してみてください!

それではまた、どこかの旅先でお会いしましょう。
その時はぜひ、出会った素敵な旅先について語り合えたら幸いです。