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ニュースなカラス、観察奮闘記【#図書館員の気になる一冊】

 カラスは、時に私たちの思いもかけないようなことをして、世間を驚かせます。それらはしばしば新聞やテレビのニュースでも扱われ、その度に人々の関心を呼んできました。本書は、そんな「ニュースなカラス」に焦点を当て、過去にニュースになったことのあるカラスの興味深い行動の数々について、鳥類学者の樋口広芳氏が、自身の観察・研究をもとにまとめたものです。
 この本には、いくつかの「ニュースなカラス」が登場しますが、中でも大きく取り上げられているのは、神奈川県の弘明寺公園で目撃された「水道ガラス」です。筆者は、「弘明寺公園でカラスが水道の栓を回して水を飲んでいる」という情報を得て、現場に向かいます。公園で観察を行った結果、一羽のカラスがくちばしで水道の栓を巧みに操り、水を飲んだり水浴びをしたりしていることが確認されます。どんなカラスが、一体どのようにして水道を使っているのでしょうか。
 観察が進むにつれ明らかになってくる真相と、衝撃の結末に、思わず息をのんでしまいます。
 これ以外にも、なぜか線路への置き石をするという「置き石ガラス」や、屋外の手洗い場から石鹸を持ち去ってしまう「石鹸ガラス」など、驚きのカラスが次々に登場します。なぜ彼らはそんなことをするのでしょうか。調査の末に、カラス側の事情が徐々に解き明かされていきます。読み終える頃には、カラスの新たな一面が見えてくることでしょう。

(おくむら かおり)

『ニュースなカラス、観察奮闘記』樋口広芳著 文一総合出版 2021.11

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