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「時代劇聖地巡礼」【#図書館員の気になる一冊】


本の表紙
春日太一著 ミシマ社 2021.4

 「聖地巡礼」といえば、コミックやアニメーションのファンのなかでは、その作品の舞台や関係する地域を「聖地」として「巡る」ことを意味します。私も以前、あるコミックを全巻読み、その舞台や地域を是非観光したいと考え、長崎県に行ったことがあります。
 今回ご紹介するのは、コミックやアニメーションではなく、時代劇を対象にした「聖地巡礼」のガイドブックです。映画史・時代劇研究家の著者が、実際に取材した京都と周辺のロケ地41ヵ所を読者が追体験できるように、12日間の取材を時系列で案内しています。各日の説明では、豊富な写真と手書きの図が掲載され、その時代劇を視聴した人にとって、それぞれの名場面が想起されるようになっています。
 私がこれまで視聴した馴染みのある時代劇のロケ地も掲載されており、その観点から実際に行ってみたいと思ったのは、4日目の行程「大覚寺、広沢池、清凉寺、神護寺」と9日目の行程「彦根城、西の湖(舟下り)、八幡堀、西の湖(陸側)」です。
 理由は、4日目の行程では、大覚寺の大沢池エリアにおいて、『暴れん坊将軍』の中で松平健氏が演じる徳川吉宗が「苦しい目に遭っている人々のしんみりとした心情」を聞く場所を、9日目の行程では、琵琶湖の内湖の1つである西の湖において、『剣客商売』の中で藤田まこと氏が演じる秋山小兵衛が「鐘ヶ淵の隠居宅から大川を舟に乗って江戸の街に出」る名シーンとなった場所を、それぞれ訪れることができるからです。
 いずれにしましても、時代劇が好きな方は、本書を片手に時代劇の舞台の旅に出てみてはいかがでしょうか。

(おまつ けんいち)

『時代劇聖地巡礼』春日太一著 ミシマ社 2021.4

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