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大島真寿美『ピエタ』×テレマン室内 オーケストラ 文学と音楽のコラボレーション企画、はじまります!



当イベントは、例年5~6月に奈良市内を中心に開催される音楽イベント 〈ムジークフェストなら〉のプログラムの一つとして予定されておりましたが、コロナ禍のため延期となっていました。このため、コンサート&クロストークイベントの受付は終了しておりますが、これを機に音楽と文学をつなげるきっかけとして頂けたら…と、関連図書の展示も併せて行うことにいたしました。
まだまだ気を許した外出がままならないこともあり、おうち時間の充実にも役立てたらと思います。
7月20日(火)~8月9日(月)まで、図書情報館3階の専門資料閲覧席 横にて展開しますので、お立ち寄りの際はどうぞご覧ください。
それでは、今回の〈文学×音楽〉を結びつけるキーワードをいくつかご紹介したいと思います。


ヴィヴァルディ

1つめのキーワードは、‘ヴィヴァルディ’です。
この人名をご存じない方も、彼の作曲した『四季』を耳にされましたら「ああ、これね。」と頷かれることでしょう。作品の認知度に反比例した知名度の低さの要因は、なんと彼の存命中から萌芽を見ていたのです。
ヴィヴァルディは何かとスキャンダラスな存在で、司祭の身分も持っているのに女性連れで行動したり、オペラや舞台劇の興行を打ち上げて時には借財を背負いそうになったりと、当時としては批判される点が多く音楽的な評判を無にしかねない所がありました。その音楽にしても今でこそ評価されていますが、批評家からは「軽薄な流行音楽」などとも言われ、毀誉褒貶の激しい人物でした。同時代の作曲家であるベネデット・マルチェッロからは、「当世流行劇場」と題した小冊子で痛烈に批判されたほどです。それ故か、晩年は時代遅れの人物と捉えられがちになり、新天地を求めて旅立ったウィーンで客死するに至ります。その後しばらく忘れられた存在になってしまいますが、音楽史の研究が進むにつれて交響曲の先駆者としての名声が回復されました。
『ピエタ』ではヴィヴァルディの訃報を受け取るところから、物語が始まります。大島真寿美先生による登場人物のヴィヴァルディ評にも注目しつつ、コンサートをお待ち頂けたらと思います。

最後に、『ピエタ』作中より一言。
「(ヴィヴァルディ)先生の音楽は、それっぱかしのものではありません。また必ずや、人々が、聴きたくてたまらなくなります。」