コンビニエンスストアと日本の流通:流通経済論からの分析【#図書館員の気になる一冊】
忙しい時の食事やちょっとした買い物などでコンビニを利用する方が多いと思います。コンビニは、忙しい時や困った時にいつでも頼れる、私達の生活に欠かすことができない身近なものになっているのではないでしょうか。
経済産業省によれば、コンビニは「飲食料品を使い、売り場面積30平方メートル以上、250平方メートル未満、営業時間が1日14時間以上のセルフサービス販売店」と定義されています。コンビニの始まりは、1920年代末のアメリカとされ、1970年代から日本でも出現するようになり、1980年代に広がっていきました。現在では、5万店を超え、小売業の売上高においてスーパーマーケットに次いで2位の規模になっています。
近年では、食料品や日用品の販売だけではなく、行政サービスや金融機関の一部を担ったり、書店の併設や市販薬の販売や移動販売などを行っているコンビニもあると言います。少子高齢化や買い物難民など現代社会の課題に対応し、インフラ的な役割を果たすようになっています。
コンビニの便利さや品揃えの豊富さなど華やかな面を見てしまいがちですが、人手不足や長時間労働、従業員の高齢化、業務の煩雑さ、SDGs、フランチャイズ契約での運営の難しさなどの問題を抱えています。コンビニだけで日本が抱える問題の縮図を見ているかのように感じさせられますが、様々な企業努力をされていることも窺えます。例えば、あるチェーン店ではサンドイッチの小麦粉の配分を変えることで、賞味期限を30時間から40時間に延ばすことに成功し、食品ロスの削減に繋げる努力をしているといいます。
本書は、身近なコンビニを通じて、日本の流通の仕組みや日本社会が抱えている問題を知り、考えるきっかけになるのではないでしょうか。
(さこう よしこ)
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