ポテトチップスと日本人:人生に寄り添う国民食の誕生【#図書館員の気になる一冊】
ポテトチップスを食べたことがない人は少ないのではないでしょうか。定番の塩味やコンソメ味から、チョコレートがかかって甘さと塩味の両方を楽しめるものなど、様々な味のバリエーションがあります。サブタイトルにもあるように、“国民食”と言っても過言ではないほど、日本ではポピュラーな食べ物だと思います。本書は、そんなポテトチップスの誕生から、いかに日本国民に受け入れられ、現在の地位を得るまでになったのかを、当時の資料やメーカーへのインタビューなどを織り交ぜながら丁寧に紐解いています。
日本のポテトチップスのはじまりは、1950年設立のアメリカンポテトチップス社による「フラ印アメリカンポテトチップ」と言われています。当時のポテトチップスは「高級おつまみ」であり、手軽なお菓子ではありませんでした。さらに、原材料であるジャガイモは、食糧難だった戦時中の食べ物というイメージがあり、敬遠されがちでした。
一般に受け入れられるようになったのは、大阪万博の頃だったそうです。当時、ポテトチップスを販売するメーカーは約100社もあったといいます。そんな中、価格を下げなかったメーカーだけが生き残りました。また当時、カルビーではポテトチップスを「生鮮食品」と捉え、油の劣化対策を行い、製造日のチェックやパッケージの見直しを始めたそうです。そういった企業努力のおかげもあり、わたしたちは手軽にスーパーやコンビニなどでポテトチップスを購入することができ、パリッとした美味しい食感を味わえるのです。
本書には、これまでに販売されたさまざまなお菓子についても触れられており、かつて自分自身がそれらを食べた当時のことが思い出され、懐かしさを感じることができました。著者のポテトチップスへの愛情が感じられると同時に、無性にポテトチップスを食べたくなる一冊です。
(さこう よしこ)
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