「国際防災の日」に読みたい本特集! -世界の気候変動や災害への取り組み-
10月13日は「国際防災の日」
「国際防災の日」は、国際的な協調を通じ自然災害によるリスクを低減するにはどうすればよいのかを、私たちひとりひとりが考える日として国連が制定しました。
今日のようにグローバル化する国際社会では、大きな災害がひとたび発生すると、被害はその国だけにとどまらず世界に及んでしまいます。例えば、2011年10月に発生したタイの洪水では、約450社もの日本企業が冠水する等の被害を受け、おおよそ1兆円の損失があったといいます。被害を大きくした理由の一つとして、タイの政策による誘致で進出していた日本企業の工業団地は平野に広がる水田地帯に多く開発され、水につかりやすい土地であったことがあげられるそうです。
世界の貧困の拡大、生態系の崩壊、そして無計画で急速な都市化等は相互に関連し災害に強く影響します。それらを放っておけば災害の規模や範囲が以前よりも大きく、激甚化・頻発化することとなり、世界的な経済低迷に陥りかねないといいます。一国では解決できない問題を地域や国境を越えて皆で解決することが大切なのではないでしょうか。
そこで、今回のプチ展示は世界の気候変動や災害への取り組みなどについて書かれている本を中心に集めました。
発展途上国の災害対策に長年かかわってきた著者の石渡氏。人間が被害を大きくしてしまった過去の自然災害の事例や、反対に功を奏した対策等を数多く解説しています。災害援助に真摯に向き合う石渡氏の、被災者を少しでも減らしたいという静かな情熱を感じます。災害格差、気候変動による今後のリスクを知ることで、これからのあり方を考えさせられます。
「地球温暖化論争」をご存じでしょうか? 地球温暖化は人類の課題として広く認識されるようになりましたが、他方で懐疑論も根強く、現在出版されている書籍は肯定的あるいは懐疑的のどちらかに偏ったものが多いそうです。本書はそのどちら側にも立つことなく解説するよう心がけたとのこと。執筆者は環境省が立ち上げた『気候シナリオ「実感」プロジェクト』に参加する専門家たちです。一般向なのですが、気候・生物・水資源・農業・人間の健康等々、さまざまな分野の新しい論文や研究成果も導入しながら全体像を提示しています。地球温暖化について広く学びたいと思っている方に手始めに読んでいただきたい一冊です。
著者はビル・ゲイツ氏、言わずと知れたマイクロソフト共同創業者であり、名だたる実業家かつ技術者です。地球温暖化は食い止められる!という彼が、どのようにすれば状況を変えられるのかを本書で具体的に論じています。理解が難しいといわれる環境問題ですが、彼のエンジニア的視点や問題解決思考で「現状」と「あるべき姿」のギャップを埋めることで、わかりやすく説明されていて、さすがビル・ゲイツさんと感心させられます。
アメリカ元副大統領アル・ゴア氏が環境問題を世界各地で訴える様子を記録したドキュメンタリー映画にあわせて本書は出版されました。世界各国で翻訳され多くの国でベストセラーとなりました。その後、ゴア氏は地球温暖化の危機を世界に伝えた功績が認められノーベル平和賞を受賞しました。いま地球で起こっている衝撃的な出来事の写真や、わかりやすいイラスト・グラフ等を使用し、地球温暖化を身近に迫った喫緊の課題として訴えています。10年後に出版された『不都合な真実2』では、気候変動のさらなる被害を伝えるとともに、拡がる対策・これからの解決策にも触れています。まだ、読まれていない方は是非一度お読みになってはいかがでしょう。