見出し画像

本棚を旅する #7

一番は?

たくさんの本棚を旅してきましたが、当館ではどの旅先が一番広い、つまり多くの本棚を占めていると思いますか?

現在一般書架(地図でいうと黄色で塗られている部分です)に並んでいる本の数は、およそ12万冊。棚の数でいうと86棚分あります。
そのうち17棚分を占めているのが今回の旅先です。冊数はおよそ2万冊。全部で10に分類されていることを考えれば、他の分類よりも多くの本が並んでいることがわかります。

果たしてどんな旅先が待っているのか。
さっそく行ってみましょう。

広い旅先には何が待っているのか

と、いうわけで、今回旅をするのはこのあたり。いつもよりも目印の丸も大きくなっています。


たくさん並ぶ本の中からまず手に取ったのはこちら。

『社会をちょっと変えてみた』(請求記号:312.1-コマサ)


社会をちょっと変えてみた : ふつうの人が政治を動かした七つの物語 駒崎弘樹, 秋山訓子著

「つわり中から保育園回りするの?」
これは「保育園一揆」を起こしたお母さんの言葉です。待機児童という言葉はよく聞きますが、それがどれだけ深刻な問題なのか、この一言から痛いほど伝わってきました。
自分たちに関係あることでありながら、だからといって何ができるともわからない社会問題。が、この本では、そんな社会問題に対して、日常の中で感じた「もっとこうなればいいのにな」をきっかけに、一歩を踏み出した人たちについて描かれています。他人事ではなく、自分事として考えていくきっかけになる一冊のような気がします。

次の出会いを求め、どんどん歩いていきます。

『世界はチャレンジにあふれている : 高齢者ケアをめぐるヨーロッパ&中国紀行』(請求記号:369.26-ヤマサ)


世界はチャレンジにあふれている : 高齢者ケアをめぐるヨーロッパ&中国紀行 山崎摩耶著

高齢化社会から高齢社会と言われるようになり、高齢者のケアに関する問題は日本にとっても、私たち自身にとっても見て見ぬ振りはできないものとなりました。その中で、世界を見渡すと日本とは異なる支援がたくさんあります。例えばよく耳にするようになった「ヤングケアラー」。日本ではまだまだ支援が追い付いていないのが実情ですが、イギリスではヤングケアラーを支援するための法律が十年近く前に整備されていました。
と、なんだか難しそうな内容だと思う方もおられるかもしれませんが、中身は写真が多くて読みやすく、また閑話休題にそれぞれの国のグルメについての小話が。まずは手に取ってみてください。

さらに棚を見て歩くと、今度は今までの2冊とは雰囲気の違う本が並び始めました。


江戸時代の和菓子デザイン 中山圭子著

江戸時代の19世紀頃に書かれた、和菓子の見本帳「御蒸菓子御見本」と「御干菓子御見本」。この本では、その2冊に描かれた和菓子をテーマごとに分類し直し紹介しています。つまり掲載されている和菓子のイラストは、どれも江戸時代当時のもの。今でもおなじみのものもあれば、名前は現代でも耳にするけれど、姿がすっかり異なるものまで。
ちなみに、和菓子の本は他の棚にも並んでいます。例えば、5類の棚には和菓子のレシピに関する本が、7類の棚には茶道に関する本の一つとして。今回は、衣食住の習俗、つまり歴史や暮らしの中の文化に関する本として選ばれ並んでいます。
ぜひ目から、おいしい和菓子を堪能してください。

たくさんの出会いがあるかも

今回の旅先は『3:社会科学』。
さらに選んだ3冊は、詳しい分類をみると『政治』『社会』『風俗習慣・民俗学・民族学』となります。また法律や教育に関する図書もここに分類されます。法律や教育も、われわれの日常生活に身近なもののひとつですね。
言葉だけ聞くと、どんな旅先かぼんやりとしか想像がつかない方も、なんだか難しそうに感じる方もおられるかもしれません。けれど、ここには自分たちにとって身近なことを扱う本がたくさん並んでいます。

たくさんあることが必ずしもいいわけではありませんが、たくさんある分、難しそうな本から、手に取りやすい本まで色んな本に出会える旅先。

ぜひみなさんも、のんびり眺めながら、新しい出会いをしてみませんか?

では今回の旅はこの辺で。