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『その他の外国文学』の翻訳者【#図書館員の気になる一冊】

 海外文学を手に取る際、その作品がもとはどんな言語で書かれていたのか、皆様はどれくらい興味を持たれるでしょうか?本書はヘブライ語、チベット語、ベンガル語など、日本の生活ではあまり馴染みのない言語の翻訳者に対するインタビューからなる1冊です。
 『その他の外国文学』と一口に言っても、それぞれの翻訳者がその言語と出会ったきっかけも、そこから見えてくる世界も様々です。翻訳仲間がいない、辞書がないといった共通の悩みから、各言語ならではの悩みを抱えることもあるといいます。例えばノルウェー語の翻訳者の青木さんは、翻訳を通して感じた日本とノルウェーの文学の差として、絵本の捉え方の違いを挙げています。日本では絵本と言えば子供向けのイメージが強い一方、ノルウェーでは絵本の対象年齢を尋ねると、0歳から100歳までだという答えが返ってきたのだそうです。
 またこの本ではそれぞれの章の終わりに、翻訳の参考になる図書や、それぞれの言語の文学、国や言語を知るための本が紹介されており、翻訳者によるおすすめ理由の一文とともに、インタビューの向こう側に広がる世界へと誘ってくれます。
 あえて採用したという、タイトルの「その他」という言い回し。そこに込められた意味も含め、普段なかなか触れることのない言語を、文化を、世界を、ぜひ感じ取っていただけたらと思います。

(すやま ゆうき)

『『その他の外国文学』の翻訳者』鴨志田聡子[ほか執筆] 白水社 2022.2

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