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みず・ミズ・水

こんにちは。奈良県立図書情報館のヤマです。今年も梅雨がおわり、海や川に行きたくなる季節がきました。そこで、今回のBBBのテーマは「水」です。
日本は海に囲まれ、河川も多くあり、水に恵まれた国といえます。また、日本の年平均降水量は世界平均の約2倍になります。しかし、日本の降水量は季節ごとの変動が激しく、梅雨期と台風期に集中しているため安定した水の確保は難しい環境です。
そこで、当館職員が「水問題」についての本を3冊選んでみました。

水がなくなる日

水がなくなる日 橋本淳司著 ; やまぐちかおりイラスト  : 産業編集センター

要旨
ボロボロな日本の水道管。使いすぎると国が沈む!?水はお金に向かって流れる…手遅れになる前に知っておきたい水のこと。
目次
1 世界の水と衛生事情;
2 水源は大丈夫か;
3 あなたの家に流れてくる水;
4 食べもの・製品という巨大な水の流れ;
5 気候変動と災害対策;
6 あなたの家から流れてゆく水

BOOKPLUSより

水と社会 : 水リテラシーを学ぶ8つの扉

林大樹, 西山昭彦, 大瀧友里奈編  : 東京大学出版会

要旨
水と安全は無料ではありません。水道民営化、ダムの撤去と河川再生、100年単位での水源林の保護、安全な水とトイレの世界中への普及…生きるために必要な水の質と量が大きく変化して、暮らしにも影響している。水を取り巻く状況とその可能性を、身近な視点からグローバルな視点まで幅広く、わかりやすく紹介する。一橋大学で人気の文理共鳴教育、待望の書籍化!
目次
第1部 水と人のかかわり(日常生活から読み解く水の多様性水からみた江戸時代);
第2部 水をめぐる環境整備(水の環境問題「水と社会」を捉えるNGOの視点―メコン河流域を事例に);
第3部 水の社会システムとビジネス(日本企業による今後の水ビジネスの国際展開水道事業についてビジネスとしての「水」環境経営と水のサステナビリティ―サントリーグループの取り組み)

BOOKPLUSより

水危機を乗り越える! : 砂漠の国イスラエルの驚異のソリューション

セス・M・シーゲル著 ; 秋山勝訳 : 草思社

要旨
世界中で「水」が失われつつある。食糧生産が打撃を受け、生活用水から飲料水まで水を確保できない社会が広がり、水源をめぐる武力衝突も拡大する。この死活問題にどう向き合うか――日本ではほとんど知られていないが、この水問題の多様な解決法に成功しているのが「砂漠の国」イスラエル。水不足どころか水資源立国に成功し、周辺国への水の提供までしている。建国以来数十年をかけて築きあげてきた驚異の手法に、水危機の解決法を学ぶ。
目次
・わずかな水で農作物を育てる「点滴灌漑」の開発
・廃水を処理して農耕に使える「再生水」を生み出す新技術
・土地の「塩害」「砂漠化」を防ぎ、廃水による汚染を防ぐ
・海水を真水に変えるイノベーションで巨大プラントを大事業に
・灌漑法、廃水リサイクル法、海水淡水化のテクノロジーを輸出
・水の再生技術でグローバルな「水市場」創出に成功
・中国、インド、アフリカ、ブラジルの水問題を支援…ほか

版元ドットコムより

さて、BBBの恒例となってきました #連想図です。「水」という連想がしやすいテーマでしたので、色々な言葉が集まりました。なかには、なるほど!となる連想をした言葉もありました。

#連想図


水鏡

歴史物語。三巻三冊。鎌倉時代初期の成立か。作者は中山忠親かといわれるが、ほかに源雅頼をあてる説もある。ただし、雅頼説は注目を集めたものの反論も出ている。内容は、神武天皇より仁明天皇までの歴史を語るが、妄誕の記事がはなはだ多く、信頼できない話題が随所にあり、歴史物語としての信憑性はいたって低い。命名の由来は、『大鏡』を意識してこれに倣って居り、構成もまた『大鏡』に拠っている。(後略)

『国史大辞典』より

四鏡と呼ばれる歴史物語の一つである水鏡ですが、冒頭に奈良のお寺がでてきます。

(前略)形式は、老尼大和(やまと)国高市郡の竜蓋寺(りゅうがいじ)(岡寺(おかでら))に詣(もう)でた際1人の修行者に出会い、ある夜つれづれの話を聞くが、そのときに修行者が葛城(かつらぎ)で会った仙人から聞いた話を老尼がまた聞きして記録したという形をとる。(後略)

『日本大百科全書(ニッポニカ)』より

ここに出てくる竜蓋寺は、明日香村にあります岡寺のことのようです。

当館には、明治10年代の開版とみられる木版一枚墨刷りの岡寺境内図が所蔵されています。

西國第七番大和國高市郡東光山岡寺之圖


水琴窟

庭や茶室の外に仕組み、水滴が落下して発する、かすかな水音を楽しむ装置。縦穴を掘り、穴底に水盆と排水口を作る。素焼きの瓶の底に小さな穴を開け、瓶口を下に縦穴の中に置く。瓶の周囲と瓶底の上に小石を敷き詰める。小石の隙間を通って瓶の穴から水盆に落ちた水滴が反響して琴のような音が響く。

『デジタル大辞泉』より

奈良にあります當麻寺塔頭西南院は「花の寺」としてしられており、庭園は江戸初期の池泉回遊式庭園で、水琴窟の趣向が凝らされています。ホームページではこの水琴窟の音が聞けます。

奈良県立図書情報館が所蔵する公文書のなかには、西南院にある三観音の1体十一面観音菩薩の修理について書かれている『大正六年 国宝修理一件 当麻寺西南院 西大寺 高雄寺 新薬師寺』があります。

大正六年 国宝修理一件 当麻寺西南院 西大寺 高雄寺 新薬師寺


お水取り

奈良東大寺二月堂の行事。毎年陰暦二月一日から一四日間行なわれる法会。二月一二日(現在では三月一二日)の夜から翌未明にかけて、堂前の若狭井(わかさい)の水を汲みとり、香水とする儀式を行なうところからいう。その水を飲めば万病が治るといわれる。修二月会(しゅにがつえ)。修二会(しゅにえ)。《季・春》

『日本国語大辞典』より

東大寺公式チャンネル - Todaiji Temple Official Channelより

奈良県立図書情報館は、『二月堂お水とり絵図』を所蔵しています。

二月堂お水とり絵図

本絵図は、二月堂の下にある閼伽井の中の井戸に、練行衆のなかの咒師を先頭とする七人の練行衆が閼伽水(香水ともいう)を汲みに行くところと、階段と二月堂に大松明が描かれ、見どころが一枚の絵に収まっている。左上には「毎年二月朔日より十四日迄だつたんおこない大松明日本無双大法事霊験あらたなること諸人よく知る所也」と記されている。絵図には版元や刊年の記載はないが、丁髷姿の人物を描く。下段には、大坂照日講、大坂二月講、伏見戸帳講、東栄講、京都二月講などの幟が立っているので、講中を泊める宿屋が配布した施し版であろうか。

奈良県立図書情報館まほろばライブラリー『二月堂お水とり絵図』

水の都


今回、Twitterで水の都と思う都市は?というアンケートを①大阪、②東京、③ヴェネツィアの三択で行いました。
結果は・・・・

圧倒的に、ヴェネツィアでした。

ヴェネツィアは、以前「「映画を楽しむ」~BBB 図書情報館web展示~」で紹介したベネチア国際映画祭(Mostra Internazionale d'Arte Cinematografica Venezia)でも有名ですが、やはり水の都としての知名度は高いようです。

I Love You Veniceより

また、多くの魅力があるヴェネツィアについてイタリア政府観光局ホームページで次のように伝えています。

ヴェネツィアは5世紀にアドリア海の干潟(ラグーナ)に築かれ、街は実に118もの小島から成り、数多くの橋でつながります。10世紀には強力な海運共和国として貿易で栄えた輝ける歴史をもち、街全体と潟が世界遺産に登録されています。
共和国の要でもあるドゥカーレ宮殿やサン・マルコ大聖堂、大運河沿いに連なるカ・ドーロ等貴族の館はもとより、小さな建物に至るまでヴェネツィア全体が建築的な大傑作ともいうべき美しさ。またティツィアーノ、ヴェロネーゼ、ティントレットなど世界的に有名な画家達の作品が建物内部をさらに華やかに飾っています。

イタリア政府観光局ホームページより


YouTubeの「イタリア政府観光局 日本支局公式チャンネル」でもヴェネツィアの魅力を伝えています。


展示の様子

展示している本のリストは、こちらから!


「水」の本、募集します。

もちろん、毎回恒例となった図書の募集もnoteで行います。
みなさんが「水」と聞いて連想する本を、教えてください!
館内の展示コーナーにて紹介させていただきます!
(展示できない場合もあります……そのときは、ごめんなさい!)

例えば、こんな感じに

『大阪天神祭: 上田安彦写真集』上田安彦著
天神祭は火と水の祭典とも呼ばれているから。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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