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本棚を旅する #6

秋の足音とともに

猛暑続きだった今年の夏ですが、今ではすっかり肌寒く、冬の足音も聞こえつつあるのではないでしょうか。今回の旅先は、そんな時期にピッタリだと思う場所を選んでみました。

どうしてピッタリだと思うのか、ぜひ今回紹介する3冊の本から、その理由を考えてみていただければと思います。

それでは前置きはこの辺に、さっそく今回の旅へ。

今回の旅先は

今回はこちら。

訪れてみると、なんだかデザインや色合いからして目を引く本が多い気がします。本のサイズも今までの旅先と比べると、様々なサイズがあるような。

その中で最初に手を取ったのがこちら。

『西欧800年の指輪史』(請求記号:755.3-チヤチ)

西欧800年の指輪史 : ヴィクトリア&アルバート博物館の指輪コレクションから読み解く
レイチェル・チャーチ著 ; 和田侑子訳

現代でも例えば結婚式の際、愛の証として用いられる指輪。他にも信仰的な意味や、死者を偲ぶためのものなど、アクセサリーの中でも特別な意味をもつことが多いのではないでしょうか?
ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館には指輪が2000点以上コレクションされており、その中にはなんと西暦1300年ごろのものも!この本ではそんなコレクションの数々に触れ、歴史の中で指輪がどんな意味をもち、どんなふうに変化していったかを感じることができます。個人的には、表紙にある人の鼻の形をした指輪が、どんな意味を持って作られたのか気になるところです。

『らくご植物園』(請求記号:779.13-アイハ)

らくご植物園 相羽秋夫著

植物ごとにその植物が出てくる落語のあらすじと、関連する小話が2ページほどで紹介されている1冊。目次を見てみると『あおい』や『うめ』、『しょうぶ』に『ほおずき』など、なんとなく落語に出てくると言われてイメージしやすいものから、『コーヒーの樹』や『ハイビスカス』、『バナナ』など一体どんな落語に登場するのか想像のつかないものまで並んでいます。
紹介されている落語も古典落語から新作落語まで様々で、例えば『新アダムとイブ』はあらすじになぜかガッチャマンが登場していました。一体どんな噺なのか、気になって仕方ないのは私だけでしょうか?
ちなみに同じ作者の方がらくご動物園も出版されているので、そちらもぜひ。

ここまで本棚を旅していると、気になる文言を見つけました。

『大型美術書は棚番号93.94にあります』

ためしに93と94の棚へ行ってみると……、

両手で抱えないと持てないような本がずらり。
まさに“大型”という言葉がぴったりです。

その中には例えばこんな本がありました。

『いのちの樹』(請求記号:748-ナイト)

1970年代、カンボジアでは70万~300万人ともいわれる多くの人が虐殺されました。その中で失われかけた伝統織物の復興を通して、人々の暮らしを取り戻したのが森本喜久男氏でした。この写真集は彼の活動や地元の人々の暮らしを写した1冊になっています。
伝統織物に関する写真も多いこの本に、どうして『いのちの樹』というタイトルがついているのでしょうか?
また、この本はあえて表紙の画像をここには載せていません。この本の表紙にはどんな写真が選ばれているのか、なぜその写真が選ばれたのか。言葉にするには難しい、写真にこめられた思いを、実際に目にして感じ取っていただければと思います。

ちなみに、美術書以外の大型本も176、177の棚や70の棚にあります。
一体どんな内容の本が大きな本になっているのか、のぞいてみてください。

○○の秋

今回、私が旅先に選んだのは「7:芸術」の棚でした。

芸術とひとくちに言っても、その中に含まれるものは様々です。
日本十進分類法を見ると、7類をさらに細かく分けた中には「71:彫刻」や「74:写真」、「78:体育・スポーツ」が含まれています。私が旅先で出会った本からも、その幅広さがなんとなく伝わるのではないでしょうか?

芸術の秋。読書の秋。

他にも色んなものに例えられる今の時期、ぜひ新しいものに触れてみませんか。

そしてコメントでぜひ、みなさんが本棚で出会った素敵な1冊を教えてください。
皆様からのコメント、お待ちしております。

それではまた、次の旅先でお会いしましょう。