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「エコとアートで地域の未来をえがく 」  ~「はならぁと2021」~③

「エコとアートで地域の未来をえがく 」
~「奈良・町家の芸術祭はならぁと2021」~

「奈良・町家の芸術祭はならぁと」は2011年から毎年開催されている、県内の町家・古民家を活用して行われる地域密着型の芸術祭です。2021年は「地球に優しいエコロジカルな芸術祭」をテーマに県内各地で開催されます。
奈良県立図書情報館では、2階セミナールーム前にて「奈良・町家の芸術祭はならぁと2021」に関連したパネル展示(9月7日~9月20日)が行われます。
また、YouTube「はならぁとチャンネル」では、過去の「奈良・町家の芸術祭はならぁと」のインタビューやメイキング動画を視聴することができます。

それとともに2階図書展示スペースにて「エコとアートで地域の未来をえがく 」と題しまして「現代アート」「町家・古民家」「地域づくり」「エコ」などをテーマにして図書展示(9月1日~9月26日)を行います。気候変動・少子高齢化など、社会の大きな変化に直面している現代において、地域は、そしてわたしたち一人一人はどのような選択をするべきなのか、主体的に考えるきっかけとなればと思います。
noteでは「エコとアートで地域の未来をえがく 」~「はならぁと2021」~というタイトルで、3つ記事を掲載します。興味がわかれた方は、他の記事も読んで「スキ」をしてもらえると嬉しいです。

図書展示リスト↓

桜井エリア

「奈良・町家の芸術祭はならぁと」の「さてらいとエリア」・「桜井エリア」(10月22日(金)~11月3日(水))となっている桜井市は、奈良県中部の中和地域に位置し、古くは大和政権の中心地であったとされています。『日本書紀』にも記述がみられる南部にある多武峰や『続日本書紀』に記述がみられる長谷寺、最古の神社といわれる大神神社など由緒ある神社仏閣が数多く見られ、宗教的にも歴史が深く古代からの信仰を知るうえでも重要なエリアです。
そして近代以降は、桜井駅周辺を中心に発展していきます。明治26年大阪鉄道(現在のJR桜井線)が桜井―高田間に通じ、明治31年5月初瀬鉄道(のち奈良鉄道、現在のJR奈良線及び桜井線の一部)が京終―桜井間に、明治32年10月には奈良まで開通して桜井は東大和の中心地となりました。また昭和4年1月、大阪電気軌道(現在の近畿日本鉄道)が桜井―八木間に通じ、大阪市と直結、さらに10月に初瀬まで延長し、昭和6年10月には宇治山田(現三重県伊勢市)まで開通することで交通上の重要な地位を占めるようになります。

参考資料:
奈良県の地名(日本歴史地名大系)
桜井町史, 續
桜井市史, 上巻
桜井市史, 下巻

当館では、奈良県に関する歴史資料として重要な公文書を保存し、閲覧に供しています。またその一部は、「まほろばライブラリー」にてデジタル画像で公開しております。その中で、大正12年5月に王寺―桜井まで結んでいた大和鉄道(第二次世界大戦中に廃線)が提出した桜井駅改良工事の申請書が『大和鉄道(奈良県庁文書)』という公文書に載っています。

大和鉄道

大和鉄道桜井駅


はならぁとに聞いてみた

はならぁと2021に関わっている方に
「プロフィール」
「はならぁとでの活動」
「紹介したい本」
「お気に入りの町家」

を聞いてみました。

はならぁと事務局事務局長 飯村有加

プロフィール
1988年生まれ。奈良市出身、在住。2013年より「奈良・町家の芸術祭 はならぁと」事務局に勤務。現在、事務局長。2017年5月、仲間とともに「一般社団法人はなまる」を立ち上げ、展覧会やアートプロジェクトの企画運営、住み開き型コミュニティスペース「maruroom」の運営を行う。2020年度より、奈良県立大学実践型アートマネジメント人材育成プログラムCHISOU アートコーディネーター。

はならぁとでの活動
「はならぁと」がスタートした2010年、まちづくり団体のひとりとして郡山城下町エリアの運営に携わりました。翌々年事務局に就職。2014年に事務局長となり、2017年に「はならぁと」がきかっけとなり結婚、2019年に育児休暇、2020年に復帰、現在に至ります。「はならぁと」をきっかけに現代芸術の楽しさと力を知り、自身の団体を立ち上げたり、大学機関で人材育成に携わるようになりました。「はならぁと」での経験を糧として、これからも奈良の文化芸術発展に寄与していきたいです。


紹介したい本
『だれでも詩人になれる本』 著者:やなせたかし

高校生3年生、大学選択の時期になり悩んでいた頃、たまたま早朝にやっていたアンパンマンの映画を見て「何故人は生きるのか」「何故アンパンマンは人助けをするのか」という主人公の問いに、アンパンマンが真っ直ぐな言葉で答えていたシーンを見て衝撃を受けたことが、やなせたかしに興味を持つきっかけとなりました。その後は著作を読んだり、高知県のやなせたかし記念館に行ったり、彼の表現に触れてきました。今は、娘がアンパンマンに夢中です。
この本には、やなせたかしの生き方や芸術に対する考え方が凝縮されていて、人生とはなにかを知るヒントがたくさん書かれています。

だれでも詩人になれる本


お気に入りの町家

小南家塾跡(撮影:佐伯慎亮)
「はならぁと2018」吉野町国栖エリアで会場になった建物のうちのひとつです。吉野川が見渡せる景色が素晴らしい空き家だったこの建物は、権田直博+N.P.Oにより改修され、展覧会中はカフェスペースとしても来場者の憩いの場になりました。吉野杉を使用し、地域に根ざした改修方法やコストパフォーマンスが評価され、2018年度奈良県景観デザイン賞知事賞とリノベーション賞を受賞。現在では、吉野町在住のデザイナーがアトリエとして使用しています。まさに理想的な「はならぁと」の空き町家利活用事例と言えるでしょう。

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(撮影:佐伯慎亮)

はならぁとさてらいと出展アーティスト 池田昇太郎

プロフィール
1991年生まれ。大阪にて元おかき工場の経過を廻るスぺース⇆プロジェクト山本製菓を2015年より開始。ある状況や環境における土地や人々の集合意識を巡りながら、言葉の有無を問わず詩作に取り組む。また他のアーティストや詩人、スぺースと共同しながら調和と異化、連帯と孤立、故郷と異郷の間を旅するように展覧会やイべントを企画している。

はならぁとでの活動
はならぁとに関わるのは今年が初めてで、縁あって桜井・戒重エリアの展覧会に参加することになりました。奈良には個人的によく来ていたのですが、2021年の始まりから桜井に訪れるようになり、定期的に同じ町に、観光するでもなく通うことが日々に別の軸をもたらしてくれています。

紹介したい本
『思考する芸術 非美学への手引き』アラン・バディウ(水声社)

一冊を選ぶことがなかなか難しかったので、現在友人とオンラインで二人読書会をしている本をご紹介します。
バディウの著作を読むのは初めてで、慣れない語彙と緻密な論理を前に一人だと挫折していたことは間違いないのですが、章ごとに区切って感想やそこから拡がる思考について友人と定期的に交信しながら進めています。次の会までに英語訳を参照し、勝手に脚注をつけるなど、あの手この手でじっくりと向き合う読書の喜びを感じることができています。本の紹介にはなっていませんが(笑)、会えない人と共通の本を読みながら、作品を通して交流するのも今の時期はいいのではないでしょうか。


お気に入りの町家
町家の土間の炊事場が好きです。この写真は桜井・戒重エリアの展覧会場を結ぶ路地ですが、似た雰囲気があります。町家には一軒一軒にその歴史や独特の構造、営みの痕跡があるので、その固有性のようなものに共振できるようになりたいです。

池田昇太郎


おわりに

図書展示「エコとアートで地域の未来をえがく 」は、9月1日から9月26日まで奈良県立図書情報館の2階図書展示スペースにて展示しています。また、展示している図書を読みたい方は、来館、他の図書館から相互貸借サービス、当館郵送貸出サービス(有料)で借りることができます。

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