note de 災害防災文庫 vol.3 ~7月プチ展示の本3冊をご紹介~
6月28日、近畿地方の梅雨明けを気象庁が発表しました。昨年より19日も早く、統計史上最も早い梅雨明けだそうです。
例年、梅雨の終盤を迎えるこの時季は、豪雨による災害が多くなります。これは勢力を強めた太平洋高気圧が暖かく湿った空気を大量に運び、積乱雲を次々と列をなすように発生させるためで、組織化した積乱雲は同じ場所に長時間の豪雨を降らせ、甚大な被害をもたらすこととなります。積乱雲を発生させる雨域は線状降水帯といい、近年注目されるようになりました。
気象庁は頻発する線状降水帯による大雨災害の被害軽減のため、今年6月1日から「線状降水帯予測」を始めました。早めの避難につなげようと「線状降水帯」が発生するおそれのある場合、半日前から情報提供が開始されています。
気象庁によると、今年は7月前半から前線や湿った空気の影響を受けにくく、7月後半は平年と同様に晴れる日が多い予想ですが、8月になると局地的に雨雲や雷雲が発達しやすくゲリラ雷雨に注意が必要ということです。
昨年も豪雨被害が各地で発生しました。いつどこで発生してもおかしくない災害の時代。もしもの時の対策を万全にしておきましょう。
そこで、今回のプチ展示では「水災害に関連した小説・童話」をご紹介します。
ー 7月プチ展示-
「水災害をテーマにした小説・童話」
明治22(1889)年8月、十津川郷(現・十津川村)では豪雨により壊滅的被害が発生し、死者は249人、決壊した河川や新湖 (大規模な天然ダム) が、十津川郷の人々の家屋を瞬く間に飲み込んでいったのです。全壊家屋は565棟を数え、日本の災害史に残る未曾有の大水害となりました。本書は、この大水害を記録した『吉野郡水災誌』を現代語訳したもので、平易な表現に訳し、当時のものよりも読みやすくする目的で編集されました。避難や救助をする人々、負傷した人や命を落とした人々の様子が鮮明に浮かび上がり、ありありとしたその描写は当時の光景や恐怖が間近に感じられ胸が締め付けられます。
日本各地の土砂災害の跡を、実際に見て回ったルポルタージュ。その時、著者は72歳を迎えていました。日本の自然は豊かな恩恵を与えてくれますが、ひとたび牙を剥くと大変な被害をもたらします。その被害は大地が「崩れ」る恐ろしさだけでなく、「移動する土の上で、ああ思いこう思い、朝の合意が昼には争いとなり、今日の好意が明日は猜疑となり、しかもそれが根深いしこりになって残るとすれば、縁引や付合の濃い間柄では、却って今までの節度が逆目にでて、剥きだしの憎しみになる」と、人の間にも軋轢が生じていくと著者は言います。災害という試練から逃れられない私たちに、大切な何かを教えてくれる一冊です。
太陽の光が届かず薄暗い8月の終わり。寒い冬がすぐそこまできています。寒さに弱いムーミンとママは、暖かく気持ちの良い場所を求めて旅をすることにしました。でもこの時、パパはニョロニョロを追いかけたまま行方不明でした。家もなく、パパもいない状況の中、過酷な試練が次から次へと押し寄せます。しかしムーミンたちは逆境に負けず、道を力強く進んでいきます。冒頭から、かわいいムーミンのイメージとは違う物語。洪水はパパを見つける重要な鍵となります。優しくて勇気あるムーミンもさることながら、たくましくて機知に富んだママが魅力的です。トーベヤンソンの処女作。
プチ展示の本は、上記のほかにもあります。
また、最初に触れた「線状降水帯」の仕組みがわかる関連本も災害防災文庫コーナーに置いています。興味を持たれた方は、是非、実際に本に会いにご来館ください。
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最後になりましたが、
noteの更新たいへんお待たせいたしました。
温かいコメントをありがとうございます。
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