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図書館員の気になる一冊

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奈良県立図書情報館に所蔵されている本の中から、図書館員が気になる1冊を紹介します。 (こちらの記事は、奈良県立図書情報館メールマガジン「Lib Info NARA -奈良県立図書… もっと読む
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2024年3月の記事一覧

英語の路地裏 : オアシスからクイーン、シェイクスピアまで歩く【#図書館員の気になる一冊】

 著者はシェイクスピアやフェミニズム批評、芸術の受容史等を専門とする文学者です。『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』という刺激的なタイトルの批評書が2020年「紀伊国屋じんぶん大賞」に選ばれており、そちらをご存じの方もおられるかもしれません。本書は、著者が演劇から小説、ロックミュージック、映画にいたるまで、その豊富な知識をもって、英語が楽しくなるようなちょっとした「路地裏」や「脇道」の入り口を覗かせてくれるエッセイです。  目次を見るだけでも、シェイクスピア、イギリスの児童文学

シミュレート・ジ・アース:未来を予測する地球科学【#図書館員の気になる一冊】

 未来予測というとSF世界のように聞こえるかもしれませんが、社会のいたるところにその成果が溢れています。例えば「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が指摘するように、気温上昇が1.5度を超えると異常気象のリスクが高まります。国の予測によれば、南海トラフ地震や首都直下地震が30年以内に約70%の確率で発生する可能性があります。また私たちが日常的に目にする天気予報も、地球の未来を予測して対処しようとコンピュータ内にもう一つの地球をつくり、シミュレーションを行って得られた成果