「室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界」【#図書館員の気になる一冊】
著者がもつ中世の人びとのイメージは、「道徳」的ではないこと、なのだそうです。ずいぶんとひどい言い方ですが、そんな気がしてしまうくらい、当時の人びとの行動はとてもパワフルなものでした。なにしろ、本書に挙げられている事例をみてみれば、落書きや呪詛で済めばまだましな方で、大河ドラマにも登場した「うわなり打ち」、果ては海賊に湖賊までもが出現するありさまです。ここまでくると、もはやそれはバイオレンスではあるまいか、という感じがしますが、いずれも中世の古文書に実際に記された事件ばかりで