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図書館員の気になる一冊

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奈良県立図書情報館に所蔵されている本の中から、図書館員が気になる1冊を紹介します。 (こちらの記事は、奈良県立図書情報館メールマガジン「Lib Info NARA -奈良県立図書… もっと読む
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2022年10月の記事一覧

「沈黙の塔」「食堂」(鴎外全集第7巻所収)【#図書館員の気になる一冊】

 今年は森鴎外(1862~1922)の生誕160年・没後100年にあたります。文庫本の読書フェアなどでも必ず一冊や二冊は選ばれているのですが、夏目漱石に比べると少し地味で固い印象があるかもしれません。また、鴎外が生涯官僚として勤め上げたのに対し、漱石は国民的作家として、(お札の肖像画にも選ばれ)、その存在が広く親しまれていたということがあるかもしれません。ところで、鴎外と聞くと、どんな作品を思い浮かべますか?教科書で『舞姫』に出合った方もおられるでしょう。あるいは、安寿と厨子

「動物の絵:日本とヨーロッパ:ふしぎ・かわいい・へそまがり」【#図書館員の気になる一冊】

 本書は、府中市美術館20周年記念で開催された、『動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり』展(2021年)公式図録で、ふしぎなかわいさの動物の表紙が目を引く一冊です。  府中市美術館は、過去にも「動物絵画の100年 1751-1850」展(2007年)や「かわいい江戸絵画」「動物絵画の250年」「ファンタスティック 江戸絵画の夢と空想」「リアル 最大の奇抜」「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」などの展覧会を通して、江戸時代の様々な動物の絵を紹介してき