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世界のブックデザイン2022-23 スイス編

「世界のブックデザイン2022-23」作品紹介、今回はスイス編をお届けします!
ご紹介するのはこちらの作品です。

スイスの最も美しい本2022 コンクール(Die schönsten Schweizer Bücher 2022)
『GAIJIN OMOIDE POROPORO HIKARI』(ガイジン・オモイデ ポロポロ・ヒカリ)
著者:David Favrod
発行:Kodoji Press, Baden
価格:CHF 38.00/ EUR 40.00
発行部数:750
ISBN:978-3-03747-110-4
デザインコンセプト・デザイン:Martin Andereggen, Winfried Heininger
イラストレーション・写真:David Favrod
印刷・製本:DZA Druckerei zu Altenburg GmbH, Altenburg
フォント:Univers (Linotype)
用紙:[本文]Fly extraweiss (Inapa) [ 表紙]Balacron Naxos (Balacron)

鮮やかなオレンジ色の表紙に箔押しされているのは225ページに登場する「Son magnifique champ de fleurs(Her beautiful field of flowers)」でしょうか。

Son magnifique champ de fleurs(Her beautiful field of flowers)

この作品はもともとこのような作品でした。

Un magnifique champ de fleurs(A beautiful field of flowers)

本書の後半にある解説では、著者が祖父から聞いた第2次世界大戦中の経験をもとに、新しく作品をつくったと書かれています。

左ページ中央から右ページ上にかけて解説されています。

解説部分は文字が反転しており、紙の裏側から読むようになっています。
先ほどの写真の裏側はこのようになっています。


ここでスイスの最も美しい本2022 コンクールの審査コメントをご紹介します。

この写真集は、作者のアイデンティティの探求を文化的な象徴と言語の曖昧さを解読する作業として表現しており、それを理解することは読者にとって魅力的な挑戦だ。
 スイス人と日本人の血を引く写真家デヴィッド・ファブロットの3つの作品集からの写真が120 枚、多くの余白をとって常に右側のページに配置されており、それは一見、不可解に思える。それらの写真には、目に留まったもの、強く演出されているもの、デジタル編集されたもの、手書きで絵や文字を入れたものがある。画像に入れられたタイトル自体は明瞭な意味を示しているが、しばしば抽象的で画像とのつながりは曖昧だ。部分的な説明が巻末にあるが、それは大きな文字で反転印刷され、紙の反対側から透かして読む必要がある。
 ファブロットは、家族写真などのほか特に祖父母から聞いた戦争の話や日本の大衆文化に心を寄せ、スイスから日本人のアイデンティティをどう再構築しようと模索したかを説明している。それは感動的な読書となり、多くの写真に新たな光を当てるだけでなく、読者が自分自身のアイデンティティの文化的構築について、じっくり考えるための余地も与えてくれる。

スイスの最も美しい本2022 コンクール 審査コメント

本書は『GAIJIN』『OMOIDE POROPORO』『HIKARI』の3つの作品集から作品が収録されています。
著者David FavrodさんのWebサイトでは、掲載されている作品を一部ご覧いただけます。


それではいくつかの作品を抜粋してご紹介します。

Godzilla
Sunrise
Octopus

本書の作品は、解説のついていないものも多くあります。
展示スペースには椅子をご用意していますので、作品に込められた意味をじっくり考えてみるのはいかがでしょうか。
ぜひ来館してご覧ください。

「世界のブックデザイン2022-23」
会場:奈良県立図書情報館 3階ブリッジ
期間:2024年6月1日(土)~7月30日(火)
※会期中、毎週月曜日(7月15日(月)は開館)、6月28日(金)、7月16日(火)休館
開館時間:9~20時
入場無料

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