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本棚を旅する #4

今回の旅先は「0」

旅先「5」では技術にまつわる本に、旅先「8」では言語にまつわる本に、そして前回の旅先「2」では歴史にまつわる本に出会いました。

これまでは紹介する本から、旅先がどんなところか想像しつつ旅のしおりを読んでいただきましたが、今回は少し趣向を変えて、先にどんな旅先なのかご紹介させていただこうと思います。

今日の旅先はずばり「0」。ここは「総記」に分類されています。

でも、そもそも総記って一体どういう意味なのでしょう?
日常生活では耳馴染みのない言葉だと思います。

「総記」を辞書でひいてみると、
『十進分類法による図書分類の一。特定分野に入れられない部門。記号は0。百科事典・雑誌・新聞など。』(デジタル大辞泉より)

わかるような……わからないような……。
とりあえず、どうやら本を分類するために作られた言葉のようだということはわかりました。

何事も百聞は一見に如かず。

記事という名の旅のしおりを片手に、今回もさっそく足を運んでみましょう。

総記にあるのは

旅をするのはこのあたり。はしっこです。

ところで、図書館の一番はしっこにはどんな本があると思いますか?
一冊目に選んだのは、私が番号1の棚を見に行った時、その一番端にあった本になります。

『社会人のリベラルアーツ』(請求記号:002-アソカ)

社会人のリベラルアーツ : 本物の知性を磨く 麻生川静男著

『リベラルアーツ』という言葉、聞いたことはあるけれど、正確な意味を答えられる、という方は意外と少ないのではないでしょうか?かく言う私も、なんとなく意味はわかりますが、それをきちんと説明できるかと言われると……。
そんな中、この本の著者が導き出した答えは「リベラルアーツとは「奴隷的生き方」から脱するための武器である」とのこと。
リベラルアーツとは具体的に何なのか、どうして学ぶ必要があるのか、どうやったら習得できるのか。折角出会った1冊、身構えすぎることなくまずはぜひ手に取っていただけたらと思います。

次の出会いを求め、棚の奥へと歩いてみると、図書館というとても馴染み深いワードがたくさん並んでいます。
その中から、気になった1冊がこちら。

『れふぁれんす百題噺』(請求記号:015.2-マキモ)

れふぁれんす百題噺 槇盛可那子, 樋渡えみ子編著

全国の図書館で実際にあったレファレンス=調べもののお手伝いの記録。
1題2、3ページ程度でまとめられているため読みやすく、図書館やレファレンスに馴染みのない人でも楽しめる内容になっています。
具体的にどんな調べものが載っているかというと……
・忍者になれる本を見つけてください
・季語の数を知りたい
・美味しそうな料理の出てくる小説は?
図書館ではこんなことも聞いていいんだと、知っていただくきっかけになれば嬉しいです。

棚の裏側へ歩くと、今度は出版、装丁といった本にまつわるワードが見えます。
特に目を引いたのが……。

『装丁道場 28人がデザインする『吾輩は猫である』』(請求記号:022.57-クラフ)

装丁道場 : 28人がデザインする『吾輩は猫である』  グラフィック社編集部編

装丁に関するカラフルな本がいくつも並ぶ中で、真っ白な表紙だった1冊。中にはここでしか見ることのできない28者28様の『吾輩は猫である』が紹介されています。
シンプルなものから、イラスト、写真を用いたもの、はたまた中にはしっぽの生えた装丁まで⁉しかもただ表紙が並べられているだけではなく、そのデザインに至るまでのアイデアの源泉なども載っています。
自分ならどんなデザインを考え付くだろうか。そんな風に考えながら、ぜひページをめくってみてください。

総記ってつまり?

今回旅先に選んだ「0」。
さらに細かい分類を見てみると、「01:図書館学」「03:百科事典」「07:ジャーナリズム、新聞」などの分類になっています。

また、当館では一部の文庫・新書も「080」の分類としてこのあたりに並べています。

結局どんな本が並んでいるんだ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、逆にこんなふうにも考えられないでしょうか?なかなか並んでいる本が想像がつかない場所ほど、新たな出会いが眠っているかも、と。

ぜひ、みなさんがそんな本棚で出会った素敵な1冊をコメントにて教えてください。

それではまた、次の旅先でお会いしましょう。

みんなにも読んでほしいですか?

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